君との距離は1メートル 【完】
「えー、そんなびっくりしたー?」
ふふ、と笑う杏奈にまた心が躍る。
「びっくりしたよ!もー」
叶わないのは分かってる。
それでもいい。
でも、好きになるのは自由でしょ?
キュッと締め付けられる心をまた感じながら杏奈の隣を歩く。
こんな思い、もうしたくないのに。
想っても仕方ないのに。
どうして消えてくれないの?
どうして好きになったのが杏奈なの?
私っておかしいのかな?
でも、経験から好きって気持ちはこんなだって分かってる。
これが好きって事ぐらい分かってる。
「奏子、あのね、光君がね」
隣で嬉しそうに彼氏の名前を口にする杏奈。
「うんうん」
私は相槌を打ちつつ、聞きたくないと心で叫ぶ。