君との距離は1メートル 【完】
好きな人の彼氏の話なんて聞きたくもない。
私が男で彼氏なら…なんて何回思ったことだろう。
杏奈から光君の話を聞くのは苦痛でしかなかった。
ーーーーーー…
放課後、帰り支度をしてると杏奈が駆け寄ってきた。
「ごめん!これから光君と勉強するから、先帰るね!」
「わかった!頑張ってね」
うん、ととびっきりの笑顔で答えると杏奈は走って教室を出て行った。
あの笑顔は、私に向けられてるけど
私に対しての笑顔じゃないもんね。
ズキズキ…
胸の奥が何かで大きくえぐられた気がする。
それくらい、苦しかった。
今日は1人か〜。
そしたらのんびり帰ろーっと。
私はいつもより遅めのペースで学校を出て歩く。
杏奈は、あの日のこと覚えてくれてるかな?
ーううん。きっと記憶に残ってないな。
そう思うと寂しいけど…
まだ杏奈と光君が付き合う前の話しだけど