君との距離は1メートル 【完】
この人は、私の好きな人が杏奈だと聞いたらどうするかな?
なんでこんな奴を好きなんて言っちゃったんだろうって後悔する?
気持ち悪がるかな?
杏奈を好きだなんて誰にもー愛巳にだって言えない。
私一人が分かってればいいから。
「奏子ちゃん?」
須藤君に呼ばれてハッと我に帰る。
「ごめんごめん!なに?」
最近ぼーっとすること増えたな。
気をつけないと…。
「いや、その、好きな人はあれからどうなったかなって思って…」
珍しく須藤君が視線をさ迷わせて曖昧な口調で聞いてきた。
「ああ…。その子付き合ったんだ。他の人とね」
あなたの良く知ってる人と。
なんて心の中で付け加えてみる。
「ええ?!そうなの?!なんかごめん…」
須藤君は相当驚いたらしく目がまん丸になった。
けど、その後に申し訳なさそうに肩をすぼめる。
「そんな!前からその人に好きな人いるって分かってたから!全然平気だよ!」
慌てて両手を振ってフォローする。