君との距離は1メートル 【完】
「ちょ、奏子ちゃん、もう行こっ!」
後ろで須藤君の慌てふためく声がする、けど
私の頭にちゃんとその言葉は届いてなかった。
ああ、見たくないのに…体が動かないの。
光君の頭で杏奈の顔がすっかり隠れた。
遠くからでもちゃんと何してるか分かった。
「キス…」
ポツリとそれだけ私は呟いた。
別に杏奈と付き合いたいとかそういう事をしたい訳じゃないけど、
でも、でもっー
「え?!奏子ちゃん!」
私は踵を返して2人から遠ざかる。
やばいやばいやばいやばい。
「っ、ぅうっ」
泣いちゃダメ。