君との距離は1メートル 【完】
ガラガラっと向こうの部屋の窓が空いた。
ドキッとして一瞬固まってしまったけど、出てきたのが池田くんで安心した。
池田くんは私の顔を見るとニコッとえくぼを作って笑う。
「やっぱり笹野さんだ。もしかしてって思ったんだよね」
「私も、やっぱり池田くんだって思ったよ」
私はこっちに来る池田くんより先にベランダのヘリにオニギリを持って立った。
い、意外と怖い…
「ちょっ、危ないからおりろ!」
焦る池田くんの声を無視して私は勢いよく池田くんのいるベランダに飛んだ。
「ーふぅ。よかった」
余裕をもって飛んだので大分ベランダの奥の方に着地することができた。
「よかったじゃないよ!万が一何かあったらどーすんだよ!」
キッと睨む池田くんは以前どっかで聞いたことのあるようなセリフを私に向かって吐いた。
私も負けじと池田くんに言い返す。
「それ、まえ私が言ったセリフ〜。昨日も今日も池田くんからあたしの方に来てもらったんだからたまにはいいでしょ?」
そう言うと、ゔっと言葉が詰まった池田くん。
言い返せる言葉がないようだ。