君との距離は1メートル 【完】
「…ん…さん…笹野さん!」
大きな声にびっくりしてハッと意識が戻ってきた。
いけない、つい見とれてぼーっとしてしまった。
「ごめんごめん!で、なんだっけ?」
首をかしげて不思議そうにする池田くんを見上げて聞いた。
「いや、これよかったらどうって話しだよ」
池田くんはまだ怪訝そうな顔で私に一冊の本を差し出した。
そこには、「黄色いチューリップ」と書かれていてそのなのとおり表紙には沢山の黄色いチューリップが描かれていた。
黄色いチューリップ…?どういうお話しなんだろう。
「黄色いチューリップの花言葉知ってる?」
池田くんがすわろっか、と言ってテーブルのとこまで行って聞いてきた。
私も続いてテーブルのそばに、池田くんと向かい合って座る。
「ううん。知らない。なんていうの?」
花言葉なんて詳しくないし、初めて聞く。
「実らぬ恋っていうらしくて、その本も悲恋のお話しなんだ」
「え、なんでお勧めなの。悲しいじゃん」
てか、池田くんも恋愛ものの本読むんだ。