君との距離は1メートル 【完】
「おかーさーん、いってきまーーす」
歯も磨いて、靴下も履いて、お弁当も持って、準備万端!!
もう一度鏡で念入りに身だしなみを整えてから玄関のドアを開けた。
「いってらっしゃ〜い」
リビングのドアからお母さんが顔を覗かせる。
もう、来て見送ってくれてもいいのに、めんどくさがって…。
ローファーを履いて家を出る。
「「あっ」」
外に出た瞬間、発した言葉があの人とハモってしまった。
「池田くんもこれから学校?」
ちょうど同じタイミングで玄関から出て来た池田くんは林丘の制服にエナメルの肩掛けのバックをしょっている。
いかにもスポーツやってます。って感じだ。
「うん。なんだ、笹野さんも今から学校なんだ?」
「まあねー。チョット余裕を持って登校しようと思って」
私は自慢げに言って見たけど、池田くんは私のドヤ顔をみてぷっ、と笑った。
…本当失礼極まりないな。
「いや、どーせ付くの15分でしょ?めっちゃ生徒いるしここら辺の子しか進学してないんだからすぐ引っ越してきた人って分かっちゃうよ?」
いかにも私が人がいない時間を狙ったと言わんばかりに当たり前のように言う。
しかも本当の事だからなおさらなにも言い返せない。
「い、いーの。そんくらいすれば度胸があるこっておもわれそーじゃん?!」