君との距離は1メートル 【完】
私、そんなに分かりやすいのかな。
初対面の人からもズバッと当てられると絶対私が分かりやすいってことだろう。
「それじゃあ、行きましょうか」
糸先生はキーンコーンカーンコーンという40分のチャイムに合わせて席を立った。
私も慌てて荷物をもって席を立つ。
「1年4組の18番だから。みんな今頃机が一つ増えてびっくりしてるわよ」
うふふ、といたずらっぽく、でも上品に笑う糸先生は階段で3階に上がった。
3階が1年生の教室になっているのかな?
糸先生は1-4という表札のかかった教室の前で止まった。
「いい?先生が先に入るからついてきてね」
まるで小学生相手に喋ってるみたい。
と思いながら、すなおに
「わかりました」
と頷いておいた。
「それじゃ…」
ーガラッ!!
糸先生はビックリするほど勢い良くドアを引いた。ものすごい音がする。
「みんなー!転入生を紹介しまーす」
糸先生はついてきて、と私に目配せして教室に入って行った。
は、入らなきゃ…。でも…。
少しの間だけ動けずにいると
「頑張れよー」
頭の中で朝聞いた声が聞こえてきた。そう、だよね。頑張らなきゃ。
私は右足を一歩踏み出して教室に入って行った。