君との距離は1メートル 【完】
「杏奈ー!かえろー?!」
教室の後ろから奏子の呼ぶ声がしてパッと振り返る。
奏子はもうリュックをしょって帰る準備万端だ。
「いまいくー!」
私はまた来た道を戻って席にたどり着いた。
「さっき柴田くんとぶつかってたでしょ?」
私がバックを持とうとした時突然耳元で奏子がコソッと言ってきた。
「え…ああ、あのサッカー部っぽい身長の高い男の子?」
「うん。そうそう。あの子も光君の友達だよ」
「ふ〜ん。って、奏子も池田君のこと知ってんの?!」
池田君、どれだけ人気者なの。
「うん。だってサッカー部の試合見に行く時とか光君、林丘の方にいるし愛巳が仲良いから話したりしたし」
あ、サッカー部つながりか。それに愛巳もいとこということで特に池田君と接する機会が多いんだろう。
「世界って狭いんだね。私も最初の友達がまさか池田君なんて思わなかったし」
バックを持って奏子に帰ろっか、と言って歩き出す。
「それ、超驚いた!!元から人気者だし、割と光君ってかっこいいじゃん?青葉にも知ってる子多いしさ、まさか転校生まで知ってるのは驚きだったよ」
偶然だね〜
なんてしみじみした声で奏子は腕を組みながら語っている。