君との距離は1メートル 【完】
「あと、俺は光でいいよ」
え?と池田君を見ると笑顔でこっちを向いていた。
「だって友達だし、それに愛巳の友達でもあるんだからなおさらじゃん?苗字呼びってちょっと遠くない?」
池田君の当たり前、と言っているような顔はどこか愛巳に似ていてそれはいとこだからなのか、それとも人の良さがにているからなのか…。
「じゃあ、光君って呼ぶ。私は別になんでもいいから」
流石にいきなり呼び捨ては男の子にはできないかな…
「じゃあ、とりあえず杏奈ちゃんって呼んでおくわ」
「わかった。ていうか、光君はいつからいたの?!」
そういえば忘れちゃってたけど奏子が光君の事好きなのかと思ってた、とか聞かれてないよね?!
悪い意味でドキドキしてると、光君がああ!と手を打った。
「細川とバイバイしてる時に俺が家から出て来たんだけどさ、そう言えば俺がどうとかっていってなかったけ?」
「え!あ、まさか今日友達になった2人が光君の事知ってたのにびっくりした〜って、心の声が言葉になっちゃっただけ」
急いで理由を付けたはいいけど、あまりにも間抜けすぎだよな。
もちろん、光君はぷっと吹き出してしまった。これは仕方ない。
「え、心の声が声に出るとか結構不思議ちゃんなんだね」
初めて言われたよ。
まぁ、実際違いますなんて言うのもめんどくさい。
光君の笑いがやっと落ち着いたとこでそろそろ帰ろうかな、と立ち上がる。
「さて、かえろうかな。光君もどこか行くんじゃないの?」