君との距離は1メートル 【完】
それから私達は時間も忘れてすっかり喋りたおしてしまった。
ふと時計をみると、もう10時半を過ぎている。
「いっけない。もうこんな時間。そろそろ帰らないとヤバイよね?」
2杯目のココアが入っているカップを置いて急いで立つ。
「そーだな。帰らないと」
光君もよいしょとゆっくり立つ。
窓を開けると冷たい風が吹いてきた。
9月の中旬だけど、夜はこんなに寒いんだ…。
「それじゃあ、またね」
ベランダに出て光君が向こうのベランダにジャンプしようとした。
「ね、出来れば毎日会わない?」
「え?」
「せっかく行き来できる距離だしさ、毎日お喋りしても楽しいし、時間決めて会おうよ」
光君がこっちに向きなおりどお?と首をかしげる。
毎日…。
私の心の中にフワッと暖かい何かが広がった。
「嬉しい。もちろん!9時から1時間位話そうよ」
「分かった。じゃ、またね」
そう言うと光君はベランダのヘリになって向こうにジャンプしてさっさと部屋に入ってしまった。
私も中に入ろう…。