君との距離は1メートル 【完】
それから、2人でクラスの事とか前の私の学校の話しとかくだらないこととか…
たくさん喋ってカフェを出たのはもう6時過ぎだった。
「んーー!いっぱい喋ったね〜!」
「ほんと!愛巳も連れてまた来ようよ!」
2人で元来た道を戻ってると
「杏奈?」
と呼ばれる声がした。
え、誰だ??男の人の声だった。
「杏奈、俺」
トントン、と肩を叩かれて後ろを振り向くと誠君がいた。
「あ、誠君。部活帰り?」
誠君の後ろには数人同じ制服ーつまり同じ高校の男の子達がいる。同じサッカー部かな?
「え、柴田君杏奈の事杏奈って呼んでるの?!」
隣にいた奏子が目が飛び出そうな位大きく見開いている。
「そうそう。今日仲良くなったんだ。何してたん?」
ニッと奏子に笑うと、誠君は私に視線を戻した。
「そこのカフェでお茶してたの」
私はまだ近くにあるカフェを指差した。
「あ、そーなんだ!どー「まーこーとー!いくぞー!」
何か言いかけた誠君は後ろの友達の声によって遮られてしまった。
「あー…じゃ、LINEして?じゃ」
誠君はそう言うと仲間の元へ行ってしまった。
ぽかーんとしていると、バシッと奏子に背中を叩かれた。
「イッタイ!なにすんの!」
すかさず文句を言うと、ガシッと方を掴まれて揺さぶられる。
「なに?!誠君って!杏奈って!いつからそんな馴れ馴れしいの?!杏奈昇降口出た時柴田君ってよんでたじゃん!」
「え〜、まって、まって!はなして!」
揺さぶられて何も言えない私はとりあえず奏子を引き剥がした。