不良恋愛
事実
り「ただいま。」
もちろん返答があるわけでもなく、リビングからは話し声。
返答がいつもないのに、まだ言ってるってことは心の中でおかえり、を言われるのを期待してるんだと思
う。
馬鹿馬鹿しいけどね。
一応、リビング覗いとこうかな。
ドアを開けるとツーンとした酒の匂い。
新しい恋人の姿とお母さん。
「あ~、りん~。帰ってたの?」
べろんべろんに酔ったお母さんがちかずいてきて、あまりの匂いに顔をしかめる。
り「うん‥。」
「こんにちは、凛ちゃん。」
にこやかな顔の恋人。随分若作りだな。
それに、軽々しく名前呼ぶなっての。
「この人ね、ままの友達。
人志って言うのよ。」
り「‥‥‥‥ちわ。」
小さく挨拶をしておく。
「こら、凛。ちゃんと挨拶しなさい。
ね??
ままの大切な友達なんだから。」
さっきまで、存在隠そうとしてたのに。
いきなり、紹介!?
彼氏だってバレバレじゃん。
り「は?友達?
恋人でしょ。」
「な、なにを言ってるの?」
お母さんの顔が強ばる。
り「恋人でしょって、言ってんの!
パパが居ないからって好き勝手やってさ。
それに、人志だっけ?
あんたも、さっさとこの家から出てってよ!!迷惑なんだよ。
あんたがいすわるから、パパが帰ってこないんでしょ!?」
__パンッ
乾いた音がして、わたしの頬をお母さんがたたいたって分かった。
「ふざけないで!!
あんたに何がわかるのよ!!」
それから、私に殴りかかろうとするお母さんを人志が抑える。
「ほら、落ち着いてって。
凛ちゃんごめんな。
彼女、よってるみたいだ。」
知ってるし。
キッと睨んでリビングをあとにして、乱暴にドアをしめた。
後ろからはお母さんの怒号。
り「知るかっての。」
自分の部屋のベッドにダイブする。
り「お母さんなんて、嫌い‥。
パパ、帰ってきてよ。」
たたかれた頬は腫れていてジンジンしている。
何でか分からない涙が流れて、そのまま眠ってしまった。