週末アンドロイド

On Sunday 2

「それじゃあ、愛莉ちゃんとお買い物、お願いできるかしら？」
私の母はそう言って、折り畳んだエコバッグを差し出した。
「いや…私は別に構わないけど…」
私は一応受け答えて、横にいる愛莉ちゃんにちらり、と視線を向けた。愛莉ちゃんは、気付かないようだったが、母からエコバッグを受け取り、
「分カッタ」
と、無造作に頷き、さっさと家を出ようとする。私は慌てて、愛莉ちゃんを追いかけるようにして後を追った。あの子に訊かなければいけないことが沢山あるのだ。
「ま、待ってよ！」
「あらあら。今日は本当に仲が良いのね」
微笑みながら、呟いた母の言葉にイラつきながら。

「…待って！ 待っててばあ！」
私が息を切らしながら、愛莉ちゃんを呼び止めたのは、家からかなり離れた所だった。
「…何？」
「何…じゃなくて！ はあはあ…あの…その…」
「待ッテアゲル」
愛莉ちゃんは私に向き合うような形で、息を整えている私の方を向いた。
息を整えている私は、その間に頭の中で必死に考えをまとめる。
まずは、何故朝、私の所に居たのか。
何者なのか。具体的に知りたい。
どこから来たのか。
…などなど、切っても切っても後を立たない質問が頭から伝達される。
抑えられない好奇心を奮い立たすように、私は困るくらい、沢山の質問をしようと無表情の私に向かって、口を開けた。