悠久を秘めた此の歌を、君達の為に私は唄う
「歌……」

口ずさまれていた言葉の意味はよくわからないけれど、何だか儚げでいて壮大な気もして心地良い、不思議で素敵な物だと思った。

「まぁ、僕の下手くそな歌はどうでもいいさ。それよりソフィア、体の調子はどうだい?」

そう言われ、私は固いベッドから上体を起こす。

「重量はさほど変わらないわ。ねぇフレイ、本当にあれは無くなったの?」

フレイは「僕は信用されていないね」と笑いながら、大きな鏡を持ってきてくれた。
そこに映る私には、確かにあの翼はついていなかった。


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