臆病者達のボクシング奮闘記(第四話)
三年生の思いやり
翌日から中間テストが始まった。
この日のテストが終わり、康平が部活に向かう途中で健太とすれ違った。マスクをしている健太が言った。
「風邪引いちまったよ。……昨日のスパーはどんなだった?」
鼻声の健太に訊かれて康平が答えた。
「森谷先輩はカウンターを打ってきたけど、ほとんどブロックの上だったよ。……先輩はわざとブロックの上を叩いてるみたいだったけどな」
「カウンターは貰わなかったんだ?」
「いや、一発テンプル(こめかみ)に貰ったよ。お前が食らったのと同じ左フックさ。一度ダウンを取られよ」
「じゃあ、お前も倒されたのか?」
「いや、立ったままのダウンだよ。……ただ、その後頭が痛かったけどな」
「……そうか。俺はこれから先生達へ行くからさ」
健太は職員室へ歩いていった。
永山高校のボクシング部員は、風邪を引いたら、完全に治るまで部活を休む決まりになっていた。そうしないと、他の選手達に移ってしまうからだ。
但し、休む場合は直接二人の先生へ報告する事になっていた。
この日のテストが終わり、康平が部活に向かう途中で健太とすれ違った。マスクをしている健太が言った。
「風邪引いちまったよ。……昨日のスパーはどんなだった?」
鼻声の健太に訊かれて康平が答えた。
「森谷先輩はカウンターを打ってきたけど、ほとんどブロックの上だったよ。……先輩はわざとブロックの上を叩いてるみたいだったけどな」
「カウンターは貰わなかったんだ?」
「いや、一発テンプル(こめかみ)に貰ったよ。お前が食らったのと同じ左フックさ。一度ダウンを取られよ」
「じゃあ、お前も倒されたのか?」
「いや、立ったままのダウンだよ。……ただ、その後頭が痛かったけどな」
「……そうか。俺はこれから先生達へ行くからさ」
健太は職員室へ歩いていった。
永山高校のボクシング部員は、風邪を引いたら、完全に治るまで部活を休む決まりになっていた。そうしないと、他の選手達に移ってしまうからだ。
但し、休む場合は直接二人の先生へ報告する事になっていた。
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