臆病者達のボクシング奮闘記(第四話)
 一発一発は強くないが、回転の速い連打でパンチを上下に散らした。

 相手は防戦一方になった。背中を丸め、打たれる面を小さくしながらガードをしている。

 大崎が打ち終わったところを狙って、相手は左フックで反撃した。

 それを右に位置をずらしながら潜り抜けた大崎は、左フックをボディーから顔面にダブルで放った。

 二発共綺麗にヒットし、相手の腰が小さく落ちる。

 レフリーがダウンを取った。


 カウントエイトで試合が続行されると、大崎はゆっくりと前に出た。

 相手はフットワークを使って回り始めるが、左ジャブは殆んど出ていない。

 大崎が右パンチのフェイントを使うと、相手は反応してガードを高く上げた。

 大崎の右クロスカウンターに対して、相手が過剰な程警戒しているのが一年生達にも分かった。

< 107 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop