臆病者達のボクシング奮闘記(第四話)
 試合が終わった選手は大会本部へ行き、ドクターチェックと、試合結果を選手手帳へ記録して貰う。

 それを終えた大崎は、体が冷えないように急いでジャージに着替えた。

 その近くでは、横山がタオルを被って座っていた。

 チラッと横山を見た大崎は、「大丈夫か?」と声を掛けた。

 横山は頷き、「……俺の分も決勝頑張ってな」と言って、小さく右手を上げた。


 その様子を見ていた清水が呟いた。

「倒された選手にかける言葉は、あまりねぇんだよな」



 バンタム級の第二試合が終わり、ライト級の試合になった。

 第一試合に出場する相沢がリングに上がった。

 セコンドには梅田が付いた。

 相沢と森谷は、梅田から指導を受けている。

 康平が飯島に質問した。

「セコンドはラウンド中に声が出せない理由で、大崎先輩の時は梅田先生がセコンドに付いたんですが、森谷先輩と相沢先輩の試合は、どうして梅田先生がセコンドに付くんですか?」
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