臆病者達のボクシング奮闘記(第四話)
熱い応援と裕也の変身
 青葉台高校の松岡が、赤コーナー側の階段からリングに上がった。

 永山高校のボクシング部員達は、応援する為に集まった青葉台高校の部員達にスペースを譲った。

 松岡が強豪校の新キャプテンという事もあってか、永山高校の三年生達は、相沢と一緒に少し位置を変えた。立ったまま観戦するようである。

 康平と健太も、松岡と体重が近い事から、先輩達と一緒に試合を見る事にした。


 清水が指を折りながら数え始めた。


 兵藤が訊いた。

「清水、お前何してんだ?」

「青葉台は、部員が何人残っているか数えてたんだよ。……三年がゴッソリ抜けて、二年が二人に、一年が六人か」

「俺達と同じ学年には、六人もいたからな」

「ホント、迷惑だったよ。殆んどの奴が、それなりに強くなりやがってさ」

 しかめっ面で話す清水を見て、兵藤は小さく笑った。

< 116 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop