臆病者達のボクシング奮闘記(第四話)
 身長が百六十五センチの大崎に対して、清水は百七十五センチと十センチ高い。


 大崎が前進すると、清水が左へ回りながら左ジャブを突いた。

 清水の左ジャブは一発では終わらず、二発三発と立て続けに伸びていく。

 左へ回る清水を追いながら、大崎は左右に頭を振ってこれをかわした。


 頭を左へ振った大崎は、溜めを作って左フックで飛び込み、右アッパーをボディーへ返した。

 清水は腕を伸ばしながらバックステップした為、大崎のパンチは届かず、いずれも空を切った。


 更に距離を詰めようと前進する大崎に、清水は左へ跳ぶように回り込みながら左フックを放ち、右ストレートを打ち込む。

 左フックは大崎の右肩へ当たったが、右ストレートはガードの隙間から顔面へ浅くヒットした。


 守勢になった大崎へ、清水は左ジャブを打って前へと出始める。


「大崎今だぞ!」

 飯島が叫びながら二回手拍子をした。

< 3 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop