臆病者達のボクシング奮闘記(第四話)
飯島が苦笑しながら言った。
「お前は生活指導で、梅田先生に散々怒られてたからな。……ただなぁ、先生はお前に教える気満々だったんだよ」
「そうなんですか? でもあまり教わった記憶が無いんですよね」
「それはお前が、梅田先生を避けてたからだろ。梅田先生はなぁ、部活の時はボクシング以外で怒らないようにしてんだよ」
「……いつも怒られてたから、苦手だったんですよね」
頭を掻いて話す清水に、飯島は静かな口調で言った。
「お前、就職決まったんだろ? 社会人になったら、嫌いな奴にもきちんと挨拶しなきゃなんねぇし、苦手な人にも仕事を訊かなくちゃいけない時もあるんだからな」
「……そうですね」
声が小さくなる清水を見て、飯島は小さく笑った。
「最後は説教臭くなってしまったが、素行の悪いお前がちゃんと就職出来て、梅田先生は本当に喜んでたんだぞ。……勿論俺もだがな」
清水は照れ臭くなったのか、リングに向かって声を張り上げた。
「森谷、カウンターもいいがジャブとフットワークを忘れんな。相手が中へ入れなかったら、それにこした事はないんだからな」
「お前は生活指導で、梅田先生に散々怒られてたからな。……ただなぁ、先生はお前に教える気満々だったんだよ」
「そうなんですか? でもあまり教わった記憶が無いんですよね」
「それはお前が、梅田先生を避けてたからだろ。梅田先生はなぁ、部活の時はボクシング以外で怒らないようにしてんだよ」
「……いつも怒られてたから、苦手だったんですよね」
頭を掻いて話す清水に、飯島は静かな口調で言った。
「お前、就職決まったんだろ? 社会人になったら、嫌いな奴にもきちんと挨拶しなきゃなんねぇし、苦手な人にも仕事を訊かなくちゃいけない時もあるんだからな」
「……そうですね」
声が小さくなる清水を見て、飯島は小さく笑った。
「最後は説教臭くなってしまったが、素行の悪いお前がちゃんと就職出来て、梅田先生は本当に喜んでたんだぞ。……勿論俺もだがな」
清水は照れ臭くなったのか、リングに向かって声を張り上げた。
「森谷、カウンターもいいがジャブとフットワークを忘れんな。相手が中へ入れなかったら、それにこした事はないんだからな」