臆病者達のボクシング奮闘記(第四話)
 試合会場に着くと、壁にトーナメント表が貼られていた。

 初日から試合があるのは、フライ級(五十二キロ以下)とバンタム級(五十六キロ以下)、そしてウェルター級(六十九キロ以下)である。この三つの階級は、八人の選手がエントリーしている。


 これを見て兵藤が言った。この日は、三年生も学校を休んで会場に来ていた。

「ライトフライ(四十九キロ以下)とライト(六十キロ以下)、それにライトウェルター(六十四キロ以下)から流れたんだろうな」

「ライトフライは黒木(琢磨)、ライトにはうちの相沢、ライトウェルターは坂田(裕也)がいるからな」

 石山が言っていた三つの階級は、それぞれ四人だけのエントリーである。

 清水が頭を傾げた。

「石山、黒木は国体三位だから分かるとして、何で相沢と坂田も避けられてんだ?」

「坂田は県外の高校へ練習試合に行って、バタバタ倒しまくってるんだよ。その噂が広まったんだろうな」

「じゃあ相沢は?」

「奴は国体予選の時、派手に二人を倒して勝ってるからさ。決勝では負けたんだが、僅差の判定だったからな」


 それを聞いた清水は、相沢の所へ行って肩をポンと叩いた。

「よかったな相沢。他の学校の奴らは、お前が強いって勘違いしてるみたいだぞ」

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