臆病者達のボクシング奮闘記(第四話)
インターハイ県予選と国体県予選の時の黒木は、オーソドックススタイル(右構え)だが、ガードは低く、ヘソの高さで構えていた。
だが、今日のシャドーボクシングを見ると、右ガードは顎の横にピタリと付け、前にある左ガードは、左のコメカミを守るように高く上げている。
シャドーボクシングには、ディフェンスの動作も混じっていたが、以前のように上半身の動きで避けるのではなく、フットワークとブロッキングで防ぐスタイルのようだ。
相沢が話に加わった。
「あれは、リカルド・ロペスのスタイルだよ」
有馬が訊いた。
「そのボクサーって有名なんですか?」
「有名も何も、アマでもプロでも無敗だった伝説のチャンピオンさ」
石山が言った。
「確かにそっくりだな。……そう言えば、黒木が国体で負けた時に、親父さんにスタイルの事をこんこんと言われてたんだよな」
「国体から約一ヶ月でスタイル改造ですか? ……それにしては、フォームが馴染んでいる感じですよね?」
相沢はそう言って首を傾げた。
だが、今日のシャドーボクシングを見ると、右ガードは顎の横にピタリと付け、前にある左ガードは、左のコメカミを守るように高く上げている。
シャドーボクシングには、ディフェンスの動作も混じっていたが、以前のように上半身の動きで避けるのではなく、フットワークとブロッキングで防ぐスタイルのようだ。
相沢が話に加わった。
「あれは、リカルド・ロペスのスタイルだよ」
有馬が訊いた。
「そのボクサーって有名なんですか?」
「有名も何も、アマでもプロでも無敗だった伝説のチャンピオンさ」
石山が言った。
「確かにそっくりだな。……そう言えば、黒木が国体で負けた時に、親父さんにスタイルの事をこんこんと言われてたんだよな」
「国体から約一ヶ月でスタイル改造ですか? ……それにしては、フォームが馴染んでいる感じですよね?」
相沢はそう言って首を傾げた。