戦乙女と紅~東西動乱の章~
序章
その日、西の大地で勝ち鬨が響いた。
累々たる屍に埋め尽くされた凍土。
晒された屍は皆、蒼い甲冑をまとっている。
この西の地で屈強を誇っていた、何百年も続く『戦士』の血統を受け継ぐ一族の統治していた国。
その精鋭軍の成れの果てである。
その昔は海戦を得手とする海の一族だと言い伝えられており、海では負けなし、その支配域を陸に求め、この西の地に国を築いたのだという。
だがしかし、海では蛮勇を轟かせていたその蒼き鎧も、この凍てついた大地では砕かれ、割られ、地べたを這わされる結果となってしまっていた。
地面すら見えぬほどの、蒼き甲冑を纏いし屍の絨毯。
それは凪いだ海のようでもあった。
…そしてその凪いだ海の上に立つ、鈍色(にびいろ)の甲冑の騎士達。
蒼き波濤を剣で打ち砕いたのは、紛れもなく暗雲の如き鎧をまとったその一団であった。
その数、総勢二百万。
質も量も、この西の地では随一を誇る軍であった。
累々たる屍に埋め尽くされた凍土。
晒された屍は皆、蒼い甲冑をまとっている。
この西の地で屈強を誇っていた、何百年も続く『戦士』の血統を受け継ぐ一族の統治していた国。
その精鋭軍の成れの果てである。
その昔は海戦を得手とする海の一族だと言い伝えられており、海では負けなし、その支配域を陸に求め、この西の地に国を築いたのだという。
だがしかし、海では蛮勇を轟かせていたその蒼き鎧も、この凍てついた大地では砕かれ、割られ、地べたを這わされる結果となってしまっていた。
地面すら見えぬほどの、蒼き甲冑を纏いし屍の絨毯。
それは凪いだ海のようでもあった。
…そしてその凪いだ海の上に立つ、鈍色(にびいろ)の甲冑の騎士達。
蒼き波濤を剣で打ち砕いたのは、紛れもなく暗雲の如き鎧をまとったその一団であった。
その数、総勢二百万。
質も量も、この西の地では随一を誇る軍であった。
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