戦乙女と紅~東西動乱の章~
「ほざけ!!」

皇帝が吼える。

「力ずくで何が悪い!?貴様のような生ぬるいやり方では、戦火は拡大する一方なのだ!!より迅速に戦乱を鎮めるには、力による支配が最も効果的なのだ!!」

「そのような平定など仮初めの平和に過ぎぬ!!」

またも襲い掛かる帝国兵を斬り倒し、私は叫んだ。

「誰かを踏みにじった結果の平和など、後に更なる戦乱を生み出すだけだとわからぬか!?」

「その時はまた俺がねじ伏せてくれるわ!!」

傲慢な皇帝の発言に。

「貴様あぁぁあぁあっ!!」

私は怒りをあらわにした。

行く手を塞ぐ帝国兵達を。

「どけぇぇええいっ!!」

怒号と共に蹴散らす!!

これではっきりした。

皇帝のやり方はこの地に後々災いをもたらす。

やはりあの男には、この地の覇者とさせる訳にはいかぬ。

…この地の支配など、正直興味はない。

私は涙する者がより少なくなれば良いと思っているだけ。

もし泣く者がいるのならば、その涙を止める方法を共に探してやりたいと思っているだけ。

だがその方法が、私がこの手でこの地を平定する事だというのならば。

「戦乙女が、この地全てに平和をもたらす!!」

これを野心というのならば、私は生まれて初めて野心を抱いていた。


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