戦乙女と紅~東西動乱の章~
力による支配と、信じる事による結束力。

両軍の統率の差が、ここに来て戦局を変えつつあった。

『加護』という名の結束力。

詭弁という者もいる。

兵を煽動しているという者もいる。

確かにそうかもしれない。

だがただ一つ。

私は兵士達に強制した事はない。

私を信じてくれるのならば付いて来て欲しい。

その願いの結晶が、この東方同盟なのだ。

真にこの地の平定を望む者達が、私や紅を信じて集ってくれた軍勢。

そんな者達の集団が、暴力と恐怖によってのみ束ねられた帝国などに敗北を喫する事など有り得ない。

平和を望む心は、武力による支配などには屈しない!!

私を中心に、東方同盟は二百万の軍勢を一気に押し切る。

帝国軍もまた、必死にその進軍を押し留めようとする。

幾度目かの巨大な衝突。

両軍の雄叫びは地鳴りとなり、凍てついた大地をも震わせる。

その熱気によって、凍土さえも溶けるのではないか。

それ程の気迫だった。

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