戦乙女と紅~東西動乱の章~
わかっているのだ。
皇帝は敢えて紅の死を強調する事で私を揺さぶるつもりだ。
私から冷静さを奪い、その隙を突くつもりだ。
戦場では常に冷静でいなければならない。
熱くなっては負けだ。
だが…。
思えばすぐにカッとなり、暴走しがちな私を戦場でうまく操ってくれていたのは紅ではなかったか。
その紅は今、ここにはいない。
そしてその事は。
「!?」
私にとっては不利でしかない。
簡単に出足を皇帝に払われ、転倒する。
そこを。
「ぐぁっ!!」
皇帝によって足蹴にされた。
頭を踏みつけられる。
「青いな、乙女。そんなに愛しい紅を失った事が悔しいか?」
嘲笑うかのように皇帝が言った。
「お前の大好きな紅は、俺が殺したのだ。二度も三度もその身を切り刻み、挙句血まみれで谷底に突き落としてやったわ。どうだ、悔しいか、俺が憎いか?」
「……っ!!!!」
悔しかった。
涙がこぼれた。
同時に己の非力さに歯噛みした。
皇帝は敢えて紅の死を強調する事で私を揺さぶるつもりだ。
私から冷静さを奪い、その隙を突くつもりだ。
戦場では常に冷静でいなければならない。
熱くなっては負けだ。
だが…。
思えばすぐにカッとなり、暴走しがちな私を戦場でうまく操ってくれていたのは紅ではなかったか。
その紅は今、ここにはいない。
そしてその事は。
「!?」
私にとっては不利でしかない。
簡単に出足を皇帝に払われ、転倒する。
そこを。
「ぐぁっ!!」
皇帝によって足蹴にされた。
頭を踏みつけられる。
「青いな、乙女。そんなに愛しい紅を失った事が悔しいか?」
嘲笑うかのように皇帝が言った。
「お前の大好きな紅は、俺が殺したのだ。二度も三度もその身を切り刻み、挙句血まみれで谷底に突き落としてやったわ。どうだ、悔しいか、俺が憎いか?」
「……っ!!!!」
悔しかった。
涙がこぼれた。
同時に己の非力さに歯噛みした。