戦乙女と紅~東西動乱の章~
私の瞳に、皇帝がカタナを振り上げる様が映る。

カタナは軟鉄と硬鉄を合わせて鍛えられる刀剣で、その造りのお陰で類を見ない切れ味を発揮するのだという。

それ程の刀剣だ。

まともに一撃を浴びせられれば命はあるまい。

私は振り下ろされる刃をただ棒立ちのまま見つめ。







「何をしている!避けぬかたわけ!!」





突然の声に条件反射で動いた。

振り下ろされたカタナは虚しく空を切り、凍てついた大地を叩く。

「ぬっ!?」

突然の私の電光の如き動きに、皇帝は驚愕する。

「……」

私は周囲を見回す。

…誰も気づいた様子はない。

先程の声…私の空耳か…?

「何をよそ見している!!」

再び皇帝が刃を振るう!!

それに対して助言を与えるように。

「受け太刀だ!剣を横に構えて!!」

今度は他の者達にも聞こえたらしい。

私は助言通りに受け太刀する!!

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