戦乙女と紅~東西動乱の章~
だが、皇帝とて西の地をその武力で制圧した強者だ。

この程度の攻撃で怯む筈もなく。

「覚悟するのは貴様だ!!」

私の大剣をへし折るほどの横薙ぎで反撃する!!

耳をつんざく程の刃と刃の激突音。

その結果。

「!!」

私の大剣が鍔元から折れ曲がり、地面に落ちた。

ここまで過酷な戦いを何度も潜り抜け、多くの敵を斬り散らし、大剣自体が消耗していた事もあるのだろう。

とにかく戦いの最中で、私は唯一の武器を失ってしまった。

「今度こそ最期だな、戦乙女!!」

皇帝が勝ち誇った笑みと共に最後となるであろう一撃を繰り出す。

その身ごと叩きつけるような、全力での突き!!

食らえば貫かれるどころか、胴体が半分に千切れ飛ぶほどの威力の突きだ。

しかし渾身の一撃とは、言い換えれば諸刃の剣でもある。

それをかわされた時、反撃は確実に己の死に繋がる。

「乙女!!」

あの声が、私を呼んだ。

「応!!」

私もその声に応える。

突きを恐れる事なく一歩踏み出し、紙一重で回避すると同時に皇帝のカタナを持つ手を掴む。

更に出足を払って、相手の突進の力を利用して投げる!!

「なっ!?」


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