戦乙女と紅~東西動乱の章~
最終章 それから…
谷底に転落した瞬間から、生き延びる為の行動を開始したのだという。
手にした魔槍を握り締め、岩肌に渾身の力を込めて突き立てた。
それで何とか谷底への激突は免れたのだという。
あとは岩肌を這い上がってきたのだと。
紅はたやすく言ってのけた。
皇帝から受けた傷からの多量の出血。
それでも諦める事なく断崖絶壁を這い上がってきた。
恐るべき生存への執念。
その超人ぶりには驚くどころか最早呆れるしかなかった。
この男は殺しても死なないのではないか。
まさしく不死身の紅の旋風。
私がそう言うと。
「簡単に言うな」
紅は憮然とした。
「流石の俺も今回は生きた心地がしなかった…」
「そうだろうな」
私は笑った。
途中で再び転落しかけた際に失った魔槍も、女神兵達が捜索の末、探し出してくれたらしい。
「よく見つけてきたものだ。あの谷底から」
「それ程貴方は慕われているという事だ」
紅の無事な姿を見ながら、私は呟くのだった。
手にした魔槍を握り締め、岩肌に渾身の力を込めて突き立てた。
それで何とか谷底への激突は免れたのだという。
あとは岩肌を這い上がってきたのだと。
紅はたやすく言ってのけた。
皇帝から受けた傷からの多量の出血。
それでも諦める事なく断崖絶壁を這い上がってきた。
恐るべき生存への執念。
その超人ぶりには驚くどころか最早呆れるしかなかった。
この男は殺しても死なないのではないか。
まさしく不死身の紅の旋風。
私がそう言うと。
「簡単に言うな」
紅は憮然とした。
「流石の俺も今回は生きた心地がしなかった…」
「そうだろうな」
私は笑った。
途中で再び転落しかけた際に失った魔槍も、女神兵達が捜索の末、探し出してくれたらしい。
「よく見つけてきたものだ。あの谷底から」
「それ程貴方は慕われているという事だ」
紅の無事な姿を見ながら、私は呟くのだった。