戦乙女と紅~東西動乱の章~
帝国との、そしてこの地を東西に二分する…言ってみれば天下分け目の大戦が終結して、一月が経過していた。
あれほど凍てつくような寒さだった北風もいつしか勢いを弱め、代わりに暖かな春風が、新たな命の誕生を祝福するかのようにこの地にそよぐ。
大地の芽吹き。
生命の息吹。
…新しい春が訪れようとしていた。
厚手の上着も必要なくなり、吐く息も白くなくなり、自然と歩調も軽やかになる。
…相変わらず私は公務に忙しい。
時折逃げ出したくなる事もしばしばだ。
だがそれでも女王に戻った私の日々は充実している。
…そういえば忙しい中、一つだけ仕事が減ったのだ。
軍議。
戦はなくなったのだ。
軍議の必要はなくなった。
小難しい顔を突きつけて、周辺の地図を睨みながらの作戦会議。
今思えば不謹慎ながらも、あれはあれでチェスのようで愉しかったように感じた。
あれほど凍てつくような寒さだった北風もいつしか勢いを弱め、代わりに暖かな春風が、新たな命の誕生を祝福するかのようにこの地にそよぐ。
大地の芽吹き。
生命の息吹。
…新しい春が訪れようとしていた。
厚手の上着も必要なくなり、吐く息も白くなくなり、自然と歩調も軽やかになる。
…相変わらず私は公務に忙しい。
時折逃げ出したくなる事もしばしばだ。
だがそれでも女王に戻った私の日々は充実している。
…そういえば忙しい中、一つだけ仕事が減ったのだ。
軍議。
戦はなくなったのだ。
軍議の必要はなくなった。
小難しい顔を突きつけて、周辺の地図を睨みながらの作戦会議。
今思えば不謹慎ながらも、あれはあれでチェスのようで愉しかったように感じた。