自動車学校の夏
「伊東さん!
 ここの角です!
 アタシ言いましたよね? 次の角で曲がってって! 過ぎそうじゃないですか!」

少し怒った様子で小内先生が言ってきた。
どうやら、急ブレーキの犯人はこの先生らしい。



「では、曲がって下さいー」
さっきの怒った様子はどこかに消えて、今度は気持ち悪いくらいに笑みを浮かべてそう言ってきた。


「はい」
そう言って、曲がろうとすると、




 ガ ン ッ


とまた急ブレーキが…。

「何やってんですか!向こうからきてるでしょ!」
また、さっきの怒った表情に戻っている。


みると、あきらかに今、100M以上先の、コーナーをすごくゆっくり曲がったばかりの、アタシと同じ入校Θの男の子が運転する教習車がこっちにむかってきていた。


「はぁ…、わかりました。すみません。」

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