自動車学校の夏
いきいきとした表情のまま、そーちょーはアタシに質問を続ける。


「ってことは、もしかして、他にも遊んだことありよんじゃない? ってか、今まで何人としよった? 両手くらいかぁ?」




「遊んだのは否定せんな。もちろん中にはちゃんと好きだから、ってした人もいるけど。今…ちょうど両手になりそうなとこ。」




「まぢで??? すっげぇ。」

今の言葉が火に油だったらしく、そーちょーの顔がなおさらいきいきしてきた。



「でも、遊びってつまらない、っていうことを実感したくなって、そんなことしたんだもん。もう今は、遊びじゃなくて、本気を味わいたいな、って思うもん。」
必死に自分はもう堅い人間やとアピールしたかったが、どうやら総長にはその言葉が届いていないようだった。



「おぃ、ちゃんと車道側は俺が歩くようにしろ。」
そーちょーにグッと手を握られた。



電柱をよけるのに車道側にたっていたアタシの手を引いて、内側に寄らせるそーちょー。

確かに、はじめから、車道を歩くな、と言ってくれていたけど、それが優しさなのか、ただの下心なのかわからなくて、私は頭の中がごっちゃになってきた。
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