自動車学校の夏
その時、ちょうど細い道をぬけ、川のそばにきた。


「なあ、このままカラオケとか行こうや。」

「ダメやって。寮は門限あるもん。」


川に沿ってくように歩いていると、コンクリートのベンチが2つ並んだスペースにきた。



「なあ、ここ座ろや。疲れたやろ?」


「いややよ、別に疲れてないし。」
肩にかかったそーちょーの腕をとりはらいながらそう言った。


でも、最初にそーちょーが話した自分のしてきた悪事が気になって、あまり下手な抵抗ができずにいた。




えーρ(-ε- )、と言って駄々をこねるそーちょーをよそに、もう30メートルほどすすむと、さっきと同じようなベンチがでてきて、またそーちょーが、

「なあ、座ろ? な? お願い(>人<;)」
と、手を合わせて言ってきたと思ったら、また肩に手をまわし、アタシをぐいぐいベンチの方へと引きずっていく。


そしてアタシは何を迷ったのか、

「いいよ。でも、門限もあるから、少しだけね。」

と言った。



「おっしゃ。んじゃ、ちょっと待って。…はい、どうぞ。」

そう言ってそーちょーは、ベンチの座るところをサッサッと払って私を座らせた。
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