今年の夏休み
夏休みの図書館は閑散としていて、
いつも効かない空調が、今日は寒いくらいだ。
俺が本を選んでいたら、
本棚と本棚の間からひょこっと顔を出したワタナベが
「富永くん」
と声をかけてきた。
「何借りるの?」
俺の手に持っている数冊の本の背表紙を、
ワタナベは指でなぞりながら、声を出して読み上げた。
「森林ボランティア…、三国志、こっちは第2次世界大戦の本…ジャンルが広いんだね」
「そうでもないよ。ワタナベは何を借りたの?」
「レタリング辞典」
小ぶりだけど、分厚くて重そうな辞書を片手で持ち上げて振った。
ポスターや看板を描くのに必要なんだそうだ。
俺とワタナベは本を借りる手続きを済ませてから
図書館を出た所にある自販機で紙パックのジュースをそれぞれ買った。
お詫びも兼ねて奢る、と言ったら
頑なに断ってきたので、俺が折れたのだ。
俺がカフェオレの茶色とベージュのツートンカラーの紙パックに
ストローを差して飲むと、
ワタナベはうまく差せないのか、手こずっている。
ストローなんか折れてよれよれになってるし。
俺は一気に飲んで、自分のストローを使う?と差し出した。
そのストローをじっと見ているワタナベに、自分の鈍感さに気付いた。
「いや、そのストローじゃ飲めないと思って。あ、このままじゃ嫌だよね?洗ってくる」
付け足したように言うと、
「ううん、平気。ありがとう」
と俺の紙パックからストローを引き抜いて、
自分のカフェオレに差し込んだ。
やっぱり苦手そうな感じなんで、
「貸して」と取り上げて、差してやった。
いつも効かない空調が、今日は寒いくらいだ。
俺が本を選んでいたら、
本棚と本棚の間からひょこっと顔を出したワタナベが
「富永くん」
と声をかけてきた。
「何借りるの?」
俺の手に持っている数冊の本の背表紙を、
ワタナベは指でなぞりながら、声を出して読み上げた。
「森林ボランティア…、三国志、こっちは第2次世界大戦の本…ジャンルが広いんだね」
「そうでもないよ。ワタナベは何を借りたの?」
「レタリング辞典」
小ぶりだけど、分厚くて重そうな辞書を片手で持ち上げて振った。
ポスターや看板を描くのに必要なんだそうだ。
俺とワタナベは本を借りる手続きを済ませてから
図書館を出た所にある自販機で紙パックのジュースをそれぞれ買った。
お詫びも兼ねて奢る、と言ったら
頑なに断ってきたので、俺が折れたのだ。
俺がカフェオレの茶色とベージュのツートンカラーの紙パックに
ストローを差して飲むと、
ワタナベはうまく差せないのか、手こずっている。
ストローなんか折れてよれよれになってるし。
俺は一気に飲んで、自分のストローを使う?と差し出した。
そのストローをじっと見ているワタナベに、自分の鈍感さに気付いた。
「いや、そのストローじゃ飲めないと思って。あ、このままじゃ嫌だよね?洗ってくる」
付け足したように言うと、
「ううん、平気。ありがとう」
と俺の紙パックからストローを引き抜いて、
自分のカフェオレに差し込んだ。
やっぱり苦手そうな感じなんで、
「貸して」と取り上げて、差してやった。