今年の夏休み
目のやり場が…、と目を泳がせながら、あたふたと聞いた。


「ここ、おまえん家だったんだ?」
「届け先にそう書いてあるでしょ?」


ホントだ。
住所ばかりしか気にしてなかったけれど、
お届け先はワタナベ様と書いてある。

若奥さんは
「あら?お友達?」なんてのんきにワタナベに聞いてる。

俺は押印された受取書をジーンズのポケットにしまいながら、
「ありがとうございます」
とぺこりとお辞儀した。


「アキ、中に入ってもらえば?冷たいもの淹れるわね?」
「うん、富永くん入って?あ、まだバイト中なんだっけ?」
「いや、これで今日は終わりだけど・・・」
「じゃぁ、上がって上がって」
「え~っと、んじゃ、ちょっとだけ・・・」


誘われるがままに、お邪魔することになった。
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