今年の夏休み
ワタナベの部屋は屋根裏部屋にあった。

梯子を引っ張り出して、するすると先に上っていくワタナベを
下から見上げながらドキドキした。
何が見えるって言う訳でもないんだけれど
見ちゃいけないような、でも視線はそこから外せないような。

ショートパンツから伸びた長くて適度に肉がついている白い足が、
上下に動いているなんて、
女の子に免疫のない童貞男子には、眩しすぎる!!

ワタナベが上に上がると
「どうぞ、上がってきて」
と入口から顔を覗かせて言い、
俺は恐る恐る梯子に足を掛けた。
なんだか子供の頃に作った秘密基地のようだ。


上ったそこは、油絵の具の匂いがつんとして
いくつものカンバスが立てかけてあり、
作り掛けの袖がまだ付いてないブラウスを着せたトルソーと
古い足踏みミシンが隅に置いてある。
ミントグリーンで塗られたオープン棚には、
教科書や、画集、CDや小さな人形が飾られるように並べられて
窓の下にはキルトのカバーが掛かっているベッドもあり、
なかなか広々としていた。
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