今年の夏休み
めんどくせ…と思いながらも、体育館に向かってしまうのは、
根が生真面目っつうか。
不良にあこがれてもワルになりきれないっつうか。

体育館には20名くらいの委員を仰せつかった学生が来ていて、
だべったり、下敷きでぱたぱたと仰いだりしている。

体育座りで座っていたワタナベが
「富永くん、ここ、ここ」
と手招きし、曖昧に頷きながら、
ワタナベの後ろに座った。

ワタナベの、白いカッターシャツは背中にブラジャーのラインがぴったりと透けていて、
妙にどきまぎしてしまう。
司会進行している教師の話を聞く振りをしながら
そのラインをじっと見ていた。

このシャツの奥の、ブラジャーの奥に膨んだ胸のことを想像したら、
じっとりと汗が吹き出てきて、背中をツーと一筋の汗が流れ落ちる。
下半身に徐々に集まっていく血に、
静まれ、静まれと念じながらもラインから目が離せないでいたら
急にワタナベが振り返って慌てる。
「はい」
プリントを1枚取って後ろに回せ、と。
藁半紙のプリントには、今後の予定表とかやらなければいけないこと、
準備物なんかがびっしりと印字されていた。

高校1年の夏休みは、計画通りに行くのかやや不安になった。
< 5 / 57 >

この作品をシェア

pagetop