佐藤くんは甘くない
小さく頭を下げると、唐沢先生はすうっと目を細めて、
「お前、自分がこのままじゃやばいこと知ってんだろ」
「それはもう、承知の上です」
「この前の小テストの点数はなんだ」
「ちょっと右手が狂って」
「お前は数学の小テストだけ右手が狂うのか?それは嫌がらせなのか、俺に対する」
「……うううう」
「このままだと次の定期テストで欠点だぞ」
「せ、先生それ以上ひっぱったら、こはるちゃん苦しそうですから」
ひまりちゃんがあわあわしながら、私を引っ張り上げる先生を止めてくれようとする。
ううっ、さすが天使ひまりちゃん。
納得のいかない先生は、
「朝比奈、お前がこうやって甘やかすから結城の成績はだな、」
そう続けて、
「───先生」
瀬尾に遮られた。