佐藤くんは甘くない


***


結局、ひまりちゃんと一緒には帰れなかった。

どうやら委員会があるらしく、先に返っていてほしいとのコト。


私たちはとりあえず、土日の計画を練るためおなじみ瀬尾家へ行くことになった。


勉強机の椅子に座った瀬尾が、くるりと向きを変えて、


「これはチャンスだ」

「アタックチャーンス!ッスね佐藤くん」

「これを機に、朝比奈と佐藤の関係が進展させる。そしたら告白も夢じゃないぜ」

「そうそう。こんな感じに。好きだ、大好きだ朝比奈さん!」

「わ、私もです佐藤くん……!」

「朝比奈!」

「佐藤くん……!」


「気持ち悪い」


ばふっと佐藤くんが私たちに向かってクッションを投げつけてきた。

寸ででよけた私をすり抜けて、瀬尾の顔面にテクニカルヒット。




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