佐藤くんは甘くない


ぞろぞろと、真ん中のテーブルを囲むように立った私たちは、


「じゃあここは私、瀬尾、佐藤くん、ひまりちゃんの順番で入るように心がけましょう」

「……は?なんで」

「席に案内されたときに、4人席に座ることを想定すると、必然的に佐藤くんとひまりちゃんが隣に座る確率が高くなりますからね」

「それに朝比奈左利きだし、隣に座るとしたら窓側じゃなくて通路側じゃないと、腕が邪魔になって距離縮められないってこともあるしな」


「……今ちょっと、見直した」

「ふっふっふ……!」


ちょっとだけ目を見開いて、佐藤くんは口元に指をやって首をちょこんと傾けた。


「すごいですか?」

「うん」


佐藤くんが素直に頷く。ああ、いつもこれくらい素直だったらもっと可愛いのに。




< 108 / 776 >

この作品をシェア

pagetop