佐藤くんは甘くない
私は、その笑みに何を返すわけでもなく、ベランダから瀬尾の部屋に入って周りを見渡す。
あれ?
「瀬尾、」
「ん?」
「佐藤くんはどしたの?」
部屋を見渡すと、あの天使、ではなく佐藤くんが忽然と消えていた。
瀬尾も同じように部屋に入ってくると、
「あー、なんか家に電話してくるってどっか消えた」
「そっか。今日はオールできるように一式もってきたのに……」
「明日は朝比奈と勉強会あるのにいいのかそれ」
瀬尾が私の手に持っていたビニール袋を見て、目を細める。
佐藤くんが一体どんなものがすきか分からなかったから、ポテチとかあたりめとかチーズたらとかあとはお茶とかいろいろ幅広いジャンルを持ってきてしまった。
見返してみたらほんとおっさんみたいなお菓子ばっかりだな私。