佐藤くんは甘くない
佐藤くんが心底めんどくさそうに、近くにあったリモコンで適当に番組を見始める。
ちえーつれない奴らめ。
私は袋の中からごそごそ、三人分のペットボトルを机に置く。佐藤くんはありがと、と短く礼を言うと、お茶を含みながら、
「大体、一体何の話すんの?」
「佐藤くんとひまりちゃんの恋バナ」
「っっ、ごほっ、ごほっ、なにっ、ごほっ、」
佐藤くんが盛大にむせた。
な、な、と言葉にならないのか、口をぱくぱくさせて佐藤くんが私をぶんぶん指さす。佐藤くん頭はいいのに土壇場になると言葉が出なくなるらしい。
隣であくびをしていた瀬尾も、佐藤くんの変わりように興味がわいたらしい。ニヤニヤしながら佐藤くんに詰め寄り始める。さすが私の幼なじみやることもエグイが顔もエグイ!
私も佐藤くんに詰め寄る。
「佐藤くんってひまりちゃんを好きになったきっかけはなんですか?」
「佐藤、お前朝比奈のどこが好きなんだよひゅぅううううー?」
「佐藤くんってひまりちゃんのほかに好きになった人いるんですか?」
「佐藤、お前朝比奈になんて告白するつもりなんだよひゅぅううー?」
「こっち来んなっ!!」
佐藤くんが顔真っ赤にしながらぶんぶん手を振って応戦。ふへへ嫌がるやつほど嫌がらせしたくなるもんだぜ、佐藤くん……!!