佐藤くんは甘くない
ついに立ち上がった佐藤くんを、壁まで追い詰める私たち。
「今日はいろいろ吐いてもらおうじゃねえっすか!」
「とことん調査してやんよ!」
「だからこっち来んなっ!キモいから!うあっ、」
───ぼふっと、瀬尾がいきなり飛びかかった!
佐藤くんが小さな悲鳴とともに、態勢が崩れる。ばん!!二人が倒れ込む音に、私は思わず目をぎゅうっと閉じた。
「つ、った」
「いった……っ」
呻き声に私は、ゆっくりと目を開けて、そうして倒れ込んだ二人に慌てて駆け寄る。
「ちょ、だ、大丈夫?」
「うー頭打った……っ」
佐藤くんが床に転がったまま、頭を押さえて顔を顰める。瀬尾も瀬尾で、佐藤くんを組み敷いたまま打ったらしいおでこを押さえて呻いている。
確かにさっきのはかなり音が大きかったし、絶対痛いわ。ちょっと悪ふざけが過ぎた。
「だいじょ、」
と、そこまで言いかけて───
「───ちょっとどうしたの!?」
───ばああん!!と思いっきりドアが開いた。