佐藤くんは甘くない
女子トイレを出て、私は悠然と歩きはじめる。
ふふふふ、みたか瀬尾!
私だっていっぱしの女なのさ。告白の一回や一回や……一回くらいお手のもんよ。
いまなら通りすがったω型ハゲの長田先生にハグしながら、告白できるくらい機嫌がいい。
そうして、意気揚々と靴に履き替えて、わざわざ校舎裏まで足を運んだ。
「……あ、結城」
校舎裏で待っていたのは、くりくりおめめにさらりとした艶のある髪。
細い肢体は傷一つなく、綺麗そのもの。そこに赤くなった頬と、うるんだ瞳が加われば破壊力は、ばつくんだ。
じゃ、なくて!!
え?
……あれ?