佐藤くんは甘くない
俺は、何を勘違いしていたんだろう。
馬鹿みたいに、何を、勘違いしていたんだろう。
少しずつ、距離が近くなっていく。
初めは目を合わせるだけで、顔が沸騰したみたいに熱くて、まともに見ることだってできなかった。でも、ぎこちないけれど、話せるようになって、目を合わせられるようになって。
変わっていける気がした。
変わっている気がした。
───初めから無理だって、分かってたのに。
本当はちっとも変ってなんてなかった。
今も昔も、弱虫でガキで、大嫌いな自分だった。
変わらない自分に焦るみたいに、都合よくあてはめたピースなんて、初めからはまるわけないのに。
何を、勘違いしていたんだろう。