佐藤くんは甘くない
「これは、確信がなくて言えなかったんッスけど。佐藤くん、花粉症でしたよね?」
「そうだけど」
突然、花粉症の話が切り出されて驚いたのか、小さく首をかしげる佐藤くん。
「私もよくは知らないんですけど、花粉症って結構遺伝するものなんですよ。瀬尾も、花粉症なんですけど、瀬尾のお母さんも花粉症で。
佐藤くんのお父さんは、話に聞くところによると、花に囲まれても大丈夫みたいですし。……なら、必然的に早苗さんが花粉症ってことなんじゃないでしょうか。
私が、あの手紙の秘密に気が付いたのはこれがキッカケなんです。
早苗さんが花粉症なら、まず花のアクセサリなんて作ろうだなんて、思わないはずですから」
「……まあ、確かに」
「なら、私に直接渡した薫さんが、アクセサリを作って、持っていた手紙に入れたことになる。
佐藤くん、あのアクセサリに使っていた花の名前、知ってますか?」
佐藤くんが首を振る。確かに、花が嫌いな人が知っているわけない。
「薔薇、スイカズラ、スイートピー。
この花、実は規則性があるんですよ」
「なに?」
「全部───6月に咲く花なんです」