佐藤くんは甘くない


不安だと、思う。

怖いと、思う。


それでも、佐藤くんはそう、誓ってくれた。

自然と笑みが、こぼれた。


そうして、二人で顔を見合わせて笑い合った、そのとき。



ぷしゅう、と音を立てて、電車が減速していく。窓の向こうで、通り過ぎた看板に、私たちの街の名前が書かれていた。


もう、私たちの街は目と鼻の先だった。



電車を降りてホームを見回してみると、もう夕方過ぎだからなのか、仕事を終えたサラリーマンや、部活帰りの高校生や中学生でごった返していた。


階段を下りて、駅を出る。

ちょうど、金曜日の朝、待ち合わせしていた場所で私たちは足を止める。


佐藤くんは、左の道を。私は右の道を。ここで、お別れだった。


「……じゃあ、今日は、ここで」


「うん」


佐藤くんが、俯きながら小さく頷いた。心なしか、寂しそうだった。なんて、私の勝手な想像だ。


馬鹿みたいだな私、と小さく笑って私は、彼に手を差し出した。


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