佐藤くんは甘くない
きゅうっと目をつむって、自分に痛みが襲ってくることに耐える。
……あ、れ?
来ない。
っていうか、なんか……下があったかい。
私はそおっと薄目を開くと───
「ちょ、さ、ささ佐藤くん!?」
「っっ、」
倒れ込む私の下に下敷きになるみたいな恰好で、佐藤くんが目の前にいる。
慌てて、彼の胸を押し返して自分の体を起こす。
それから、まるで人形にでもなってしまったみたいに固まった彼が、あんまりに真っ青な顔をしていることに、気付いた。
「だ、大丈夫!?」
まさか、頭とか打った!?
大けがとかだったらど、どうしようっ?
慌てて彼に近付く。
そして、手を伸ばしたその時───
「───っっ、触るなっ!!」
バシン!
と、さっき倒れ込んだときよりも、大きな音が響き渡った。