佐藤くんは甘くない
……………………ん?
んー…………と。
ん?
私は、恐る恐るきつく閉じた瞼を開けて───目の前の佐藤くんを、見た。
佐藤くんは、じっと私の瞳を覗き込んだまま、無言だ。
「……今、なんと」
「…………何度も、言わせないで」
ふいに、弱気な声音で佐藤くんが私を見上げる。そして気まずそうに、ばっと顔を逸らす。その耳はこれでもかというくらい赤く染まっていた。
「恥ずかしい、から」
ぎゅううっと、胸が締めつめられる。なんだ、なんなんだこの子の可愛さは神か、これが神なのか。いや、でも落ち着こう私。
だって、今佐藤くん……なんて言った?
佐藤くんは、しばらくもごもご口を動かした後、
「……だから、ゼリー好き」
その言葉を咀嚼するように、言った。